相続税・贈与税の基礎知識

相続税・贈与税の中級Q&A

自社株の承継対策のポイントは?

私は、同族会社の創業者ですが、子どもへの事業承継を考えております。さしあたっての対策として私の所有している株式を徐々に子どもに移していきたいと思っていますが、そのポイントを教えてください。

同族会社の事業承継対策は、大きく分けると後継者への経営の引継ぎ(後継者の育成)と経営支配権の引継ぎ(自社株の承継)をできるだけスムーズにおこなうことを目的としています。

ここで経営支配権の引継ぎ(自社株の承継)についての考え方を順に整理すると、次のようになります。

自社株承継の考え方

現状分析・・・株主構成の確認、株価算定、相続税の試算
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問題点の把握・・・株価が高額、相続税が高額、名義株主などの存在
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各種対策の検討および対策の実行
 ・・・株価の引下げ(会社の維持、発展とのバランス考慮)
 ・・・株式の移転(贈与、譲渡、場合によっては相続)
 ・・・名義株などの解消、相続(税)対策
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対策効果の確認および継続的な見なおし

生前自社株承継をおこなうかどうかの判断

生前の自社株の承継のしかたとしては、贈与、譲渡などが考えられますが、それにはコスト(税負担など)がともないます。もちろん相続で承継したとしてもコストがかかりますが、それらのコストの比較をする必要があります。
また、コストとは別に将来相続が発生した場合に自社株を含めた遺産分割がもめる可能性があるため、生前に後継者に移転する必要がある場合や、その他の理由(後継者に早めに自覚を持って欲しいなど)で生前に移転する判断をすることも考えられます。
いずれにしても自社株の株価が問題となり、その価額が低いほど税負担も少なくなり、承継しやすくなります。

自社株式評価の引下げ

同族株主の自社株式は、原則的評価方式である類似業種比準価額方式と純資産価額方式により評価されます。

  1. 類似業種比準価額方式は、上場会社の類似業種の株価と比較することによって株価を計算する方式で、配当、利益、純資産の額を基に計算します。したがって、次のような会社は株価が高くなります。
    1. 毎年多額の配当をしている会社
    2. 毎年多額の利益を計上している会社
    3. 過去の蓄積利益(純資産価額)が大きい会社
    そこで、類似業種比準価額は、評価額の算定要素になる「配当」、「利益」、「純資産」をどのようにして低く抑えるかがポイントになります。
  2. 純資産価額方式は、相続税評価額に置きなおしたところの会社の純資産(資産マイナス負債)を基に計算します。したがって土地、借地権などの含み利益の大きい会社ほど高い評価額が算出されます。
    そこで評価会社の純資産をどのようにして引き下げるかがポイントとなります。

自社株の移転のタイミング

自社株の評価額を引き下げてもその状態を長期間維持しておくことは困難な場合が予想されます。
相続はいつ発生するか予想できないことを考慮すると、評価の引下げから株式の移転、分散まで計画的におこなってこそ意味(効果)があります。

その他の注意点

  1. 相続税の納税資金について
    生前に株価対策(引下げ)や後継者への一部移転をおこなっても、相続が発生した場合になお高額な相続税がかかる場合もあります。
    そのような場合には、合わせて納税資金の準備も必要になってきます。一般的には生命保険を利用するケースが多いようです。
  2. 株価対策(引下げ)と会社経営について
    株価対策をおこなううえで、注意しなければならない重要なことは、常に会社経営におよぼす影響を考慮に入れながらおこなうということです。
    節税対策としては効果があっても、その結果が会社経営に重大な支障を与えるようでは意味がなくなってしまいます。
  3. 事業承継は社長が率先
    事業承継は社長が率先しないと、後継者への経営の引継ぎにしろ自社株の承継にしろうまくいきません。事業承継を一番うまく遂行することができるのは社長以外にはありえません。