居住用財産の譲渡
◆1 各種制度の概要
【1】団居住用財産を譲渡した場合の軽減税率
所有期間が10年超である特定の居住用財産を譲渡した場合には、一般の土地建物の分離譲渡所得とは区分して、通常の譲渡所得に対する税率より低い税率を適用して計算することにより税負担の軽減を図る制度である(図表-6)*11。
*11措法31の3(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)
【2】同居住用財産を譲渡した場合の3,000万円控除
特定の居住用財産を譲渡した場合には、その譲渡益から最高3,000万円*12を控除することができる制度である*13。したがって、実質的に控除される譲渡益相当分の課税が免除される。
*12その譲渡益を限度とする。
*13措法35①(居住用財産の譲渡所得の特別控除)
【3】特定の居住用財産の買換えの特例
所有期間が10年超である特定の居住用財産を譲渡*14し、一定の買換資産を取得した場合に、譲渡所得の課税の特例がある*15。
譲渡資産の譲渡対価と買換資産の取得価額を比較して、買換資産の取得価額の方が大きい場合は譲渡がなかったものとされ、譲渡資産の譲渡対価の方が大きい場合には、その上回った部分についてのみ課税の対象とされる。特別控除のような課税の免除ではなく、取得費を引き継ぐことによる課税の繰延べの効果が得られる。
*14譲渡対価の額2億円以下に限る。
*15措法36の2(特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例)
【4】居住用財産の買換えの場合の譲渡損の繰越控除
居住用財産の買換えをした場合に、譲渡損失が生じたときは、一定の要件を満たす場合に限り、その譲渡損失については損益通算及び3年間の繰越控除ができる特例である*16。
*16措法41の5(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除)
【5】居住用財産の譲渡損の繰越控除(債務超過)
ローン残高のある一定の居住用財産を、ローン残高を下回る価額で譲渡し損失が生じたときに、一定の要件を満たす場合に限り、その譲渡損失については損益通算及び3年間の繰越控除ができる*17。
*17措法41の5の2(特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除)
◆2 特定の居住用財産の範囲
【1】居住用家屋の範囲
(1)各制度における居住用家屋の要件
各制度における居住用家屋の概要は、次頁図表-7のとおりである。措置法通達31の3-2では、「居住の用に供している家屋」とは、その者が生活の拠点として利用している家屋をいい、これに該当するかどうかは、その者及び配偶者等*18の日常生活の状況、その家屋への入居目的、その家屋の構造及び設備の状況その他の事情を総合勘案して判定されると規定している。

転勤・転地療養等の事情のため,配偶者等と離れ単身で他に起居している場合であっても、その事情が解消したときは配偶者等と起居をともにすることとなると認められるときは、その配偶者が居住の用に供している家屋は、その者にとっても「居住の用に供している家屋」に該当する。
*18社会通念に照らしその者と同居することが通常であると認められる配偶者その他の者をいう。
(2)適用の対象とならない家屋
これらの特例の適用を受けるためのみの目的で入居した家屋、一時的な目的で入居した家屋、別荘等の主として趣味、娯楽、保養目的の家屋は「居住の用に供している家屋」には該当しない。
(3)生計一親族の居住の用に供している家屋
所有する家屋が所有者の居住用家屋に該当しない場合であっても、次に掲げる要件のすべてを満たしているときは、その家屋はその所有者にとって「居住の用に供している家屋」に該当する*19。
*19措通31の3-6(生計を一にする親族の居住の用に供している家屋)

・その所有者は、もともと所有者としてその家屋に居住していたこと
・その家屋は、その所有者が居住の用に供さなくなった日以後引き続き、その生計を一にする親族の居住の用に供している家屋であること
・その所有者が,その家屋を居住の用に供さなくなった日以後に、◆1に掲げる居住用財産の特例等の適用を受けていないこと
・その所有者が現に居住の用に供している家屋が、その所有者の所有する家屋でないこと
(4)居住用家屋が2以上ある場合
居住の用に供している家屋を2以上有する場合には、その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限るものとされる*20。
この場合、「主としてその居住の用に供していると認められる家屋」に該当するかどうかは、次に掲げる区分に応じ、それぞれの時点での現況により判定される*21。
*20措令20の3②(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)、26の7⑨(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除)
*21措通31の3-9(「主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋」の判定時期)

【2】店舗兼住宅等の場合の扱い
店舗兼住宅等の場合は,原則として居住用部分のみが適用対象となる。床面積等から居住用部分を抽出することとなるが、その全体に占める割合がおおむね90%以上の場合には、その全体が居住用財産に該当するものとして特例の適用を受けることができる*22。
*22措通31の3-7(店舗兼住宅等の居住部分の判定)、31の3-8(店舗等部分の割合が低い家屋)
【3】居住の用に供されなくなった日から3年を経過する日の属する年の
12月31日までの間に譲渡されたもの
(1)居住の用に供されなくなった後の用途
居住の用に供されなくなった家屋をその居住の用に供されなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡した場合には、その居住の用に供されなくなった日以後どのような用途に供されている場合でも居住用財産に該当する*23。
*23措通31の3-14(災害滅失家屋の跡地等の用途)
(2)店舗兼住宅等の居住部分の判定の時期
もともと店舗兼住宅等であった家屋を居住の用に供さなくなった後に譲渡した場合の居住部分の判定は、その家屋を居住の用に供さなくなった時点の直前での利用状況に基づいて行い、その後の利用状況の変化は考慮しない*24。
*24措通31の3-7(注)
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