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週刊「相続情報」

上場株式の譲渡損失と配当所得の損益通算

 平成21年分所得税の確定申告時期が近づいてきました。
皆様準備はお進みですか?
今週は、平成21年分の申告から新たに設けられた証券税制について事例形式で
ご紹介いたします。


<事例1>会社員Aさんの場合
Aさんの平成21年の所得は次のとおりです。

 ① 上場株式の配当所得 200,000円(源泉所得税14,000円 住民税6,000円)
 ② 上場株式の譲渡損 500,000円 
 ③ その他の課税所得(給与のみで年末調整済) 5,000,000円

 従来の税制では、株式等に係る譲渡所得等の赤字の金額は、給与所得や
配当所得などの総合課税の所得と通算することはできませんでしたので、Aさんは、
配当所得の税率が7%で総合課税を選択する場合の税率20%より有利であるため、
配当所得は申告不要制度を適用し、上場株式等の譲渡損失の繰越控除を受けるために
確定申告をしようと思っていました。

しかし、平成21年分からは、上場株式等に係る配当等について、総合課税の
対象となる所得に含めないで、7%(住民税3%)の税率による分離課税の配当所得
として申告することを選択することにより、株式等の譲渡損失の金額は配当所得の
金額から控除することができるようになったと知りました。

そこでAさんは、配当所得のすべてについて申告分離課税制度を選択し、
株式の譲渡損失の金額と損益通算することにより、源泉徴収された所得税14,000円の
還付を受ける申告書を作成しました。
また、引ききれなかった譲渡損失の残額300,000円は繰越控除をすることも記載し、
翌年以降に備えることとしました。



<事例2>専業主婦Bさんの場合
Bさんの平成21年の所得は次のとおりです。

 ① 上場株式の配当所得 400,000円(源泉所得税28,000円 住民税12,000円)

 所得は配当のみでしたが、前年(H20.年)に上場株式等の譲渡損失が500,000円あり、
確定申告で繰越控除の手続きをとっていました。

Bさんは、事例1の新たな制度がその年に生じた上場株式等の譲渡損失のみでなく、
前年からの譲渡損失の繰越金額にも適用があることを知ったので、配当所得のすべてに
ついて申告分離課税制度を選択し、譲渡損失の繰越金額と通算することにより、
28,000円の所得税の還付を受けることにしました。
また、引ききれなかった繰越控除額100,000円は再度繰り越す内容の申告書を作成しました。

*注意点
 Bさんは配当所得の金額を譲渡損失の繰越控除額と通算することにより、
課税所得金額は0円となって税金は発生しませんが、扶養控除などを判定する「合計所得金額」は、繰越控除前の所得金額400,000円となります。
配偶者控除を受けるための所得金額は38万円以下が要件ですので、ご主人は
配偶者控除を受けられなくなります。
また、会社によっては扶養手当てがもらえなくなるようなケースもありますので、
申告についてはよく検討して判断されることをお奨めします。


 「合計所得金額」については、次週詳しくご説明いたします。