会社を設立してみてはいかがでしょうか
新会社法の施行に伴い、近年、お客様からの会社設立に関する相談が多く寄せられています。会社には、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社がありますが、今回の週刊相続情報では、これらのうち株式会社(以下「会社」といいます)の設立について触れてみます。
一般的に、個人で事業を行う場合に比べ、会社を設立した方が有利と言われています。これは、メリットとして、① 会社と個人の両方で経費が認められること(会社側での給与の経費計上と個人での給与所得控除)、② 資本金1,000万円未満の会社であれば設立後2年間は消費税が免税となること、③ 青色欠損金を7年間繰越せること、④ 役員退職金の支給ができること、⑤ 一般的な信用力が増すこと、⑥ 所得を業務内容に応じ親族等で分けられること、などがあるからです。ちなみに、デメリットとしては、① 設立に際し、費用・手間がかかること、② 利益がなくとも毎年最低7万円の納税が生ずること、③ 交際費の損金算入額に限度が設けられていること、④ 帳簿の作成義務があること、などがあります。
会社の設立方法には「募集設立」と「発起設立」がありますが、ここでは中小企業を前提とした場合に一般的と考えられる「発起設立」の方法について順を追ってご説明します。
(1) 会社の基本事項の決定
商号、目的(事業内容)、本店所在地、資本金、発行可能株式総数、設立時取締役、
決算日などを決定します。なお、商号については新会社法の施行後、法務局での類似
商号の調査は基本的に必要ありませんが、不正目的での商号使用は禁止されている
ので調べておいた方がよいと思われます。また、目的については法務局の担当官や公
証人と事前に相談して決めましょう。事業内容によっては設立後に役所への届出等が
必要となる場合があります。また、後日、会社印が必要となりますからこの段階で発注
しておきましょう。
(2) 定款の作成及び認証
定款とはいわゆる会社のルールブックで、その作成が義務付けられています。記載事
項には、「絶対的記載事項」(記載が義務付けられているもの)として、商号、目的、本
店所在地、設立に際して出資される財産の価額または最低額、発起人(出資者)の住
所氏名、「相対的記載事項」(記載することで効力が生ずるもの)として、株主総会・取
締役以外の機関の設置、株式の譲渡制限、役員の任期など、「任意的記載事項」(左
記以外のルール)として、事業年度、役員報酬の決定方法、配当の支払に関する事項
などがあります。
これらの内容を記載し、発起人全員の実印を押した定款を3部作成(うち1部には4万
円の収入印紙を貼付)の上、印鑑証明書とともに公証人に提出し、認証を受けます。
なお認証手数料は5万円で、別途謄本作成料(1,000円程度)が生じます。
(3) 資本金の払込み
発起人の個人口座に資本金を払込み、通帳の裏表紙と払込みが印字された部分をコ
ピーします。別途作成した「払込みがあったことを証する書類」に会社印を押し、通帳コ
ピーと合本して会社印で割印します。
(4) 設立登記申請
設立登記申請書(収入印紙を貼付)、公証人の認証を受けた定款、取締役就任承諾
書、払込みがあったことを証する書類、資本金の額の計上に関する証明書、OCR用申
請用紙、印鑑届出書を揃え、法務局にて登記申請します。なお、登記申請書に貼付す
る収入印紙の額は、「資本金の額×0.7%」と「15万円」のいずれか多い金額となりま
す。登記申請後1~2週間の補正期間を経て、設立完了となります。
(5) 設立後の手続
税務署、都道府県税事務所、市町村に法人設立届出書等を提出し、労働基準監督署
で労働保険の加入手続、ハローワークで雇用保険の加入手続、社会保険事務所で健
康保険・厚生年金保険の加入手続を行うこととなります。
以上が会社設立にまつわる一連の手続で、煩雑さを伴うことは必至です。しかし、上記メリットのほか、平成22年度税制改正により特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度が廃止されることもプラスに働きますから、煩雑さに目を奪われず、会社設立を是非検討されてみてはいかがでしょうか。



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