相続人がいないときの財産はどうなる?
Aさん(75歳)は一人っ子で兄弟はなく、両親は既に他界しています。
共働きだった配偶者も最近亡くなりました。子供はいません。
従兄弟やその子供は身近にいて、親戚づきあいも良好です。
このような方、皆様の周囲にもいらっしゃるのではないでしょうか?
でも、仮にAさんにもしものことがあったとき、「相続人はいない」のです。
相続人がいないと相続財産は法人化され、さまざまな手続きを経て、
特別縁故者の手にわたり、特別縁故者もいないときは国庫に入ることになります。
でも、せっかく築いた財産ですから、あまり親しくなかった方や国に渡るより、
生前お世話になった方へ差し上げたいと思うのが人情ではないでしょうか。
相続人がいるときといないときでは、相続税の計算も違ってきます。
例えば、未払いの医療費があって相続開始後に支払ったとき、相続人が負担したならば
債務控除と言って相続財産から差し引くことができますが、債務控除は相続人または
包括受遺者にのみ認められていますから、相続人がいない場合は親戚の方が負担しても「債務控除」はできないのです。これは葬式費用についても同じです。
このような場合のおすすめは、「遺言書」をお作りになることです。
遺言によって他人(法定相続人であるか否かは問われません)に自分の財産を
与えることを「遺贈」といいます。
遺贈には、遺産の全部または一定割合で示される遺産を与える「包括遺贈」と、
財産の種類や物が特定されている「特定遺贈」があります。
たとえば、「私の全財産の1/2をBさんに与える」というのは包括遺贈であり、
「○○市△△町100番地の土地はCさんに与える」というのは特定遺贈です。
包括遺贈を受ける人を「包括受遺者」といい、相続人と同一の権利義務が与えられます。
特定遺贈を受ける人を「特定受遺者」といいます。
この場合は権利だけが受遺者に与えられますので、遺言書で特定しないかぎり、
負の財産は引き継ぎません。
特定遺贈をするときは、「○○市△△町100番地の土地はCさんに与える、
ただしCさんはこの土地に係る未払いの公租公課を負担するものとする」のような文章で、
受遺者に法律上の義務を負わせる趣旨を遺言書に明記することをおすすめします。
このように、受遺者に対し、ある義務を課して行う遺贈を「負担付遺贈」といいますが、
負担付遺贈の場合は、遺贈を受けた財産の評価額からその負担額を差し引いて相続税を計算することができるからです。
また、包括遺贈であっても、遺産に付随する債務(例えば遺産である不動産を被相続人が購入した際の銀行借入金)は自動的にその遺産を取得した受遺者が負担することにはなりません。
遺産を取得した受遺者に債務も負担してほしいときは、特定遺贈と同様に、
受遺者に法律上の義務を負わせる趣旨を遺言書に明記することが大切です。



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