相続時精算課税制度とは?

相続時精算課税制度の活用方法

相続時精算課税制度を選択した場合の有利不利およびその利用法について以下ご説明します。

相続時精算課税制度選択の有利不利

相続時精算課税制度においては、贈与時の時価で相続財産に加算され相続税が計算されます。そのため、相続時精算課税制度を適用し贈与した財産が、相続時までにその価額が上昇していれば相続時精算課税制度を適用したことが有利に働きます。一方、相続時に下落していれば不利に働きます。

【例】 ※相続税率を30%と仮定します。

《平成19年》 父から子へ相続税評価額5,000万円の土地贈与

《相続発生時》

○ 土地評価額7,000万円のケース
相続税の差=(5,000万円?7,000万円)×30%=△600万円
※生前贈与しない場合に比較し600万円の相続税減少

○ 土地評価額3,000万円のケース
相続税の差=(5,000万円?3,000万円)×30%=600万円
※生前贈与しない場合に比較し600万円の相続税増加

また、将来の相続税の上昇を回避し、その金額を固定化するといった観点から本制度を選択するといったことも考えられます。

相続時精算課税制度の利用法

  1. 収益物件の贈与
    従来、収益性の高いアパートなどを子に贈与しようとしても高額な贈与税の負担のため実際にはできないことも多くありました。本制度では、非課税枠が拡大され、贈与税率が20%と一定税率のため、これらのことが容易になりました。しかも収益物件からの収入はその後、子に移転し、それは相続税の対象にはなりません。 図:収益物件の贈与
  2. 自社株の贈与
    本制度を利用して自社株を贈与した場合、相続時に相続財産に加算される価額は、前述のとおり贈与時の価額です。例えば、現在、5,000万円の自社株を贈与したとします。仮に相続時に1億円に上昇していても5,000万円のままです。現在の株価で相続税が計算されますから当然、相続税も低くなります。相続税率が仮に30%なら税額で1,500万円の相違が生じます。
    現在の株式の評価方法は、会社に利益が発生すると高い割合で株価が上昇する方式に変更されています(類似業種比準価額方式)。株価が上昇基調にある会社や特に株式公開を目指しているような会社のオーナーにとっては一考に値いすると思います。図:自社株の贈与
  3. 生前の財産分割、事業承継
    実際に相続が発生すると遺産分割で紛糾するケースは多数見受けられます。そのため、本人が元気なうちに、例えば、一部の子に財産を贈与し、その代わりとして遺留分の放棄を依頼し、残った子に残りの財産を遺言で相続させるようなこともおこないやすくなりました。生前に贈与を受ける子についても、相続時に財産を取得する場合に比較し、金銭的な余裕がない年代で財産の贈与を受けたいと考える方が多いと思われます。
    また、会社の後継者が決まっていても、その後継者に自社株や会社の事業継続に必要な財産(例えば、社長が所有する本社屋の敷地など)を確実に引き継げるかどうかは、いざ、相続が発生してみないと確実なところはわかりません。このような場合も、生前贈与と遺留分の放棄、遺言を組み合わせることで対応がしやすくなります。

    【例】 ※相続税率を30%と仮定します。
    子A…遺言で必要財産を相続させる
    子B…相続時精算課税を適用し贈与+遺留分放棄
    子C…相続時精算課税を適用し贈与+遺留分放棄
  4. 将来の納税資金の確保
    本制度を利用して生前贈与を受けた場合、相続時には贈与財産も含めて相続税が精算されます。負担する相続税のために、例えば、事前に契約者子、被保険者親、受取人子といった生命保険に加入し相続税相当部分を保険でカバーできるようにする、あるいは遺言で生前に贈与を受けた者に相続税相当分の現金を遺贈するといったような工夫をされるのもよいかと思います。
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