分けにくい財産が多い場合の相続
相続があった方の家はいわゆる旧家の本家で、先祖伝来の土地を受け継いできました。
亡くなった被相続人(父親)の遺産は、古くから他人に貸し付けていた土地と自宅、預金と知人の会社の株式が少々です。
思案の結果、父親の相続では長男が財産をすべて取得して相続税も納付し、その代わりに分家した弟妹たちに印鑑代を支払うことになりました。
印鑑代は、弟妹たちの希望により、各人が相続税を支払ってもある程度手許に残る金額を予定しています。
しかし、相続財産のほとんどが不動産であり、長男自身にも手持ちの資金がないため、やむなく土地の一部を売却して納税や印鑑代にあてようと考えています。
相続した資産を売却すると、相続税だけでなく所得税もかかってくるため、少しでもこれらの税金の負担を減らす方法を検討しました。
譲渡予定の土地は共有で。
父親の遺産を長男でがすべて取得し、その代わりに弟妹に印鑑代(代償金)を支払うという分割方法を代償分割といいます。また相続した土地を売却した場合、確定申告が必要となり、譲渡所得税が課税されます。
この場合に譲渡所得税が発生するのは長男ひとりであるため、相続税の納付と合わせると税負担が集中する形になります。
売却が決まっている土地については、代償金に代えて、各相続人の希望取得額や税負担に見合った持分により共有で相続する方法が考えられます。
この場合、相続後にその土地を売却したときには、各相続人が
自分の持分について譲渡所得の申告・納付をおこなうことになります。
ただしその際には、各人がそれぞれに譲渡所得の計算の特例(下記代償分割と共有を参照)を受けることができるため、代償分割のように長男が単独で一連の申告・納付をおこなうよりも特例枠を最大限に利用することができるというメリットがあります。
また最終的に手許に残るのが現金であるため、弟妹たちにとっても代償金を取得したのと同じ効果が得られます。
「代償分割と共有」
代償分割は、ある相続人が相続分以上の財産を取得し、その代わりに他の相続人にそれぞれの相続分に見合う金銭等を渡す方法です。
代償金を交付した相続人は取得した相続財産から支払った金額を控除することができますが、その資金を相続財産の売却によって捻出する場合には、その売却した相続人にのみ譲渡所得税が課税されることになります。
一方、代償分割ではなく売却する財産を共有で相続しておいた場合は、各相続人が売却代金のうち自分の持分相当額を納税にあてることができ、しかも納税した各共有者全員が譲渡所得税の申告の際に相続税の取得費加算の特例(※注1)を受けることができます。
(※注1)相続税の申告期限から3年以内に相続した財産を売却した場合は、納めた相続税のうち一定額が譲渡所得の経費になる。



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