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事例レポート「相続の現場」 事例06

名義だけ借りている株式の課税は?

相談者の甲さんは、A社(非上場)の代表取締役です。A社の株主名義は一部取引先の他、甲さん及びその親族及び知人、従業員(過去及び現在、故人もあり)です。ただ、甲さんの親族及び知人、従業員名義になっている株式のうち、そのほとんどが実際には甲さんが出資しているとのことでした。

このような状態で甲さんに相続が発生した場合、A社株式についての相続税はどうなるのか、また、現時点で親族以外の人の名義の株について甲さんに名義を変更した場合、課税上問題になるのかといった相談でした。

なお、A社は業績が良く株価も相当高いとのことでした。


名義だけを借りている株式(名義株)か、それとも贈与した株式(又は出資時の金銭贈与)かの判断は事実関係をどれだけ明確にできるかがカギになる。

名義株は古くからの問題で、過去には上場企業の名義株について新聞等でも報道がありました。名義株については、基本的に出資をした人のものとされ、その人に相続が起これば、相続財産となります。

名義株かどうかの判断はかなり難しく、特に時間が経てば経つほど実態はつかみ難くなってしまします。ただ、次のような観点から検討するとある程度の判断はできると思います。

  1. 出資(設立時、増資時)の状況が客観的に判定可能か(銀行口座の動き等で判断できるか)。
  2. 株券は発行しているか。発行している場合、その名義は誰になっているか。
  3. 株券は誰が保有しているか。
  4. 株主台帳上の名義は誰になっているか。
  5. 配当が行なわれている場合、その配当は誰が受取っているか。受領印は誰のものか。
  6. 配当が行なわれている場合、支払調書は誰の名前になっているか。
  7. 配当について誰が所得税の申告を行なっているか。
  8. 出資をせずに株主になっている方が贈与税の申告を行なっているか。
  9. 出資をせず株主になっている方は株主であることの認識があるか。
  10. 出資時から現在までどの程度の期間が経過しているか。
  11. 名義人の方から買取請求のようなものがなされているか。
  12. 株主総会の通知は誰に出しているか。
  13. 株主総会の出席者の状況はどうか。

以上の内容を個別に検討していったところ、明確に出資の状況が解明でき、当事者間の理解が得られたものについては、名義を甲さんに変更する手続きをとりました。株主台帳の変更ともに法人税申告書別表2の株主の変更も併せて行ないました。

(注)名義株は、税金以外でも、株式の買取請求の問題があります。とくに、出資当時の関係者が死亡しており、その相続人が関係者となってくると、出資当時の状況が分からないため、話はより複雑となります。