会社の清算と遺産分割
被相続人は電気設備の修理事業を営む会社の代表者でした。後継者が不在なため、相続人の方々は会社を清算することにしたいと思っていました。会社の主な資産は、駅近くのビルとその敷地です。ビルの敷地は昭和30年代に取得しているため、かなりの含み益が出てしまいます。
相続人には、相続の遺産分割と併せて処理したい希望がありました。なお、この会社には、被相続人の妻も役員となっております。
●相続人…妻、子3人
不動産で退職金の支払をする。相続税、所得税、法人税、各税での特例が絡むので、それらを総合して判断する。
相続人の方に、お話を伺い、状況を確認したところ次のことが分かりました。
- 会社所有のビル及び敷地の評価額
相続税の評価額を参考として試算したところ、評価額は約1億円となりました。 - 退職金の試算
被相続人及び妻の退職金として税務上、問題とならない金額を、報酬月額、在職期間等を基に算定したところ次のようになりました。
(1)被相続人・・・約1億5,000万円
(2)妻・・・約3,500万円
上記の内容及び、会社の資産、負債の内容を考慮し、会社所有のビルを、死亡退職金とし相続人の方が取得し、相続人である妻にも併せてビルの持分を退職金として支給することになりました。
具体的には、次のような内容となりました。
- 会社所有ビル及び敷地を退職金として支給+追加現金支給
(1)退職金内訳(退職金は会社のビル及び敷地(評価額約1億円)で支払う) 1.被相続人:7,500万円(不動産持分として7,500万円/1億円)
→相続対象
2.妻:2,500万円(不動産持分として2,500/1億円) (注)妻の退職金の所得税は退職所得控除が適用になり課税が軽減されます。
(2)退職金内訳(現金) 被相続人:2,000万円(現金で支払い・下記3の法人税を考慮しつつ 算定しました。)
→相続対象 (注)被相続人の退職金については、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人数)があります。 - 会社を清算する場合の配当金及び配当所得について
会社が解散し清算する場合の配当金は、各出資者に現金で支払います。
会社に対する出資金(資本金)は2,000万円です。その2,000万円を各出資者が払い戻しを受けます。 1.被相続人の会社に対する出資(株式)の払い戻し分:2,000万円の内1,650万円(相続税の対象は、この金額そのものではなく、会社の被相続人所有の株式の評価額となります。相続した方がこの権利を取得します。→相続対象)。
2.被相続人以外の出資者の方(妻及び子)の払い戻し分:350万円(注)上記1.及び2.の出資金払い戻しについては、出資金と同額であるため配当所得は発生しません。出資金を超える場合は配当所得として総合課税され所得税が発生します。 - 会社が清算することによる法人税
上記1の退職金支払いを行うことで、会社には残余財産は残らず結果として法人税はゼロとなりました。



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